「……!!!」

驚いて顔を上げると、明石くんが離れた。
涙目で睨んだところで、効果は全くないどころか喜んでるみたいで。

「そんな顔で見られたら、泣かせたくなるな」

嬉しそうに笑う明石くんに、とうとう私は。

「ふぇ、ふぇーん」

「あーあ。
泣いちゃった」

私を泣かせたくせに、嬉しそうな明石くんの声。
急に暗くなったかと思ったら、目の前に明石くんが立ってた。
戸惑う私を無視して勝手に抱きしめてくる。

「ごめんね。
宮野が泣くの可愛いから、つい泣かせたくなるんだよねー」

……そんな理由で、泣かせないでください。

「でも、ダメだよ、宮野。
僕以外の前でそんな可愛い顔見せちゃ。
泣かせるのは彼氏……候補の僕の特権、なんだから」