教室に戻ると、葵ちゃんが寄ってきた。

「萌花?
ずいぶん遅かったけど、なんかあったの?」

……なんか?
杉本先生がおでこに、……。

「杉本になんかされたの!?
やっぱり着いていくべきだったよ!
あんまり遅いから行こうとしたら、明石の奴が教室来るし!」

おでこに、おでこに……。

「萌花?大丈夫?」

心配そうに葵ちゃんに顔をのぞき込まれて我に返った。

「あ、……うん。
大丈夫、だよ」

「ほんとに?
……あ、杉本、来た。
またあとでね」

「……うん」

「席に着けー、授業はじめんぞー」