駅を出て、学校と反対方向に歩き出す。
どこに行ったらいいのかなんてわかんない。
ただ、住宅街をふらふらと歩いてた。

そのうち、ポツポツと降り出した雨はすぐに本降りへと代わり、冷たい雨に打たれながらそれでも彷徨い続けた。
そのうち見つけた公園の、雨宿りができそうな遊具に潜り込んで、膝を抱えて丸くなる。

……いまからどうしたらいいんだろ。

いままで助けを求めるのはいつもお兄ちゃんだった。
でも、もう、あんなことを平気で云うお兄ちゃんと一緒にいたくない。

明石くんにだって、汚いものみたいな目で見られた。
葵ちゃんだって。

どうしたらいいんだろ。
どこに行ったら。

「宮野」

唐突にかけられた声に顔を上げると、土砂降りの雨の中、傘を差した杉本先生が立ってた。

「なにやってんだ」

苦笑いの先生と視線を合わせられなくて、また抱えた膝の中にあたまを戻す。