……なのに。

「今日から宮野が登校してきて全員そろったな。
では……」

ひとり欠席のはずなのに、先生はなにも云わない。
斜め前……上村さんの席は空いてるのに。

もやもやとしたまま試験を受ける。

休み時間に葵ちゃんに聞いてみようかと思ったけど、復習が忙しそうでやめておいた。

「萌花、帰ろー」

「葵ちゃん」

試験が終わり、鞄を手によってきた葵ちゃんに詰め寄ると、びくりと身体を震わせて二、三歩後ずさった。

「話、いいかな?」

「えっと。なんの?」

私と視線を合わせない葵ちゃん。
やっぱりなんか知ってるよね。