するどくてやわらかい




高梨由利(タカナシユリ)



彼女は僕の恋人だ。





帰る準備をしながら聞き耳を立てていたから、いきなり話を振られて体が少しびくついた。



「あは。やーだ、なにびっくりしてんの」


「いや、僕に話振られると思ってなくて」


「だって気になるじゃーん。高梨さんって美人だしかっこいいけどなんか近寄りがたいしさー」



「そうそう。アスカどうやって高梨さんと仲良くなったの?」


「弱みでも握って脅してんじゃない?」


「あー」


あーっておい。こら。


話しかけてきたくせに、僕の後ろに座る女子2人はもうすでに期間限定のアイスがどうとか、内容のそれた会話をしていた。


小さくため息をついて、ポケットに入れていた携帯で彼女に連絡をとった。


まだ授業がおわってそんなに時間はたってない。彼女のクラスもまだホームルームは始まってないだろう。



『今日、いっしょに帰ろう』


ナンパされてたっていうのを気にしてないといえば嘘になる。