するどくてやわらかい




「あぁ〜…」


「ごめんなさい。私の髪がひっかかったせいで…」


「いやいや、僕が勝手にちぎったんだし、気にしないで?裏ボタンなんてなんでもいいんだからさ」


ね?と、申し訳なさそうな彼女をなだめて、彼女のちいさな手のひらに転がる金色のボタンに手をかけた。


せっかくだけど、学校のマドンナにボタンをつけてもらうことはなくなった。


帰ったら適当にボタン見つけて、つけちゃえばいいや。

僕ボタンうまくつけられるかな。


そんなことを考えながら、そのちいさな手のひらに指先が触れたとき。


金色のボタンをつまんだ僕の指ごと、やわらかいちいさな手のひらはぎゅっと握りしめられた。


「っ、」


驚いて変な声を出さなかったことが、唯一の救い。

残念なことに僕の顔が赤らんでしまっているだろうということは、鏡を見て確認しなくてもわかった。



金色のボタンから視線を彼女へと向けると、そんな僕をよそに顔色も変えずに僕を見つめる彼女がいた。



「あ、の。」


「私にボタン付けさせて」


「へ?」


「明日、朝のHR始まるまでに教室まで行くから」


「いやいやいや!いいよ!!」


彼女がボタンを握りながら、僕の指先から手を外した。


握られたのは、ボタンを僕に返さないためだったようだ。