なんでこんなことになった?
そりゃあ、いやじゃない。
だって高梨さんだし。
あの高梨さんがわざわざ僕を追いかけて声をかけてくれたんだ。
むしろラッキーと思うべきなのか?
考えながら右肩を学ランからはずしたとき、
「えっ、わっなに!?」
横に座ってた高梨さんが、着ていたカーディガンを脱ぎだした。
ださい。こんなことでどぎまぎする自分を恨む。
「? もう冷えるから、脱いだら寒いよ。サイズ的に着れないと思うから、肩からかけておいて」
「あ、はい」
ほんとにださい。
言われるがまま学ランは高梨さんに渡して、ほんとに恐れ多いけど高梨さんのカーディガンを肩からかけた。
ホームに人はまだまばらにしかいなくて、ふたりきりのこの空間がいたたまれない。
高梨さんを横目で見ると、僕の学ランのボタンを取り出すためにポケットに手を入れてるところだった。
ポケットに変なもの入れてませんように。
「あの、ボタンはこれだけ?」
「え?」
これ以上変なことしないように、目をつぶって手を膝に置いて待機してると高梨さんの声がした。
目を開けると、僕の顔を覗き込む高梨さんがいた。

