その瞬間、僕は自分の学ランのボタンを引きちぎっていた。
ベタだけどほんとの話。
ボタンに絡む髪を外して、そのボタンは適当にポケットに突っ込む。
「あの、すいませんでした。では」
ちょうどホームに着いた電車。
開いたドアから人混みをするするとすり抜けて、降りるはずだった3つも手前で降りた。
あぁ、せっかく急行に乗ってたのに。
でもあのまま同じ電車の真正面に乗ったままでいられるほど度胸なんてない。
僕は結構繊細なんだ。
知らない女の子でも、くさいと思われるなんてショック以外の何者でもない。
降りたホームで、次の電車は何分後に来るのか、と。
電光掲示板を見上げた時。
「あの」
キーの高い小さな声。
振り向くよりも先に、学ランの袖を引っ張られる感覚がして、
「え?」
振り向いた先にいた人物に、僕は固まった。
「時間ありますか。もしよかったら、ボタン、つけさせてください」
そこには、高梨由利がいた。

