そのとき僕の目の前に立ってたのはユリちゃんなんだけど、身長差と混み具合でそれがユリちゃんだってことも僕は気がついてなかった。
「いたっ」
「え?」
僕の学ランのボタンに彼女の長くてやわらかい髪が絡まってしまったことから全ては始まる。
ベタだけどほんとの話。
髪が絡んだあの瞬間、僕はすごく焦ってしまって彼女の顔も見ていなかった。
見てたのはボタンに絡んだやわらかそうな髪と、かろうじて同じ学校の女の子という証拠の制服だけ。
はずそうとするも余計に絡んでいってる気がするやわらかい髪。
自分の不器用さを呪ったね。
何よりも僕を焦らせていたのは距離の近さ。
ただ立っていたときはもう少しくらい離れていたはずだ。
ただ髪が絡んでしまったことにより、女の人の頭が僕の胸元に寄りかかるようにあるのだ。
なんだこれ!ちかい!超いいニオイする!女子ってなんでこんなにいいニオイするの!
そしてそれはふと頭をよぎった。
僕、くさくないかな。
今はもう汗をかく時期ではない。
ただ僕は今まで花壇の整理を1人でしてた。
もちろん土の入れ替えなんて力仕事だ。
汗をかく。
聞かなくてもわかる。
くさい。

