もう一視線がこちらへ向けられた。
でもその視線は僕からは微妙にずれている。
その視線の先を追うと、ユリちゃんが来てから嘘みたいに大人しくしてたヤマモトに向けられていた。
「ヤマモトくん」
「っはい!」
「鬼ユリ」
「へ?」
「毒なんてないよ」
それだけ言うと、またくるりと背を向け教室から出て行ってしまった。
ふいに教室内が静かになる。
ヤマモトの顔を覗くと、見事に真っ青になってた。
当たり前だ。ユリちゃんのこと鬼ユリなんて言うからだ。
一瞬静かになったクラスメートたちは見事にユリちゃんが出て行ったらドアを見つめており、
また変な話が出回っちゃうなあ。
なんてことを考えた。

