「よし、行こっか!」

「…あ…あぁ」



やっぱり……。


陸はいつもバスケの話になると悲しい顔をする。そりゃ強豪だった私達の中学のバスケ部でエースだった陸がバスケを辞めるなんてそれなりの理由があったはずだ。怖くて理由を聞けなかった私には何もできない。





でも!

-ピッガチャン-



「はい、陸!さっきの競走に負けちゃったから!」

「…え?」



私は急いで自販機で陸の大好きなグレープ味のふってふってゼリーを買い、陸の顔の前に持っていく。



「ほら!早くしないとせっかく走ったのに遅刻しちゃうよ?次こそは負けないからね!」

「……そうだな」


陸はフッと優しい笑顔を浮かべて歩き出した。