私はまだ半分は寝ている状態でトイレに向かった。


見事に頭がぼーっとしている。


廊下に出て私はトイレを見つけて用を足すことができた。


そして、自分の部屋に戻ろうとした時‥あの部屋から灯りがもれているのがみえた。


私は興味本意にその部屋に導かれるように向かったのだ。


部屋をそーっと覗き込むと中は本棚に囲まれていた。


それもたくさん、本棚が‥


これをきっかけに私の眠気は一気にふっとんだ。


「す‥すごい‥」



私は近くにあった本を本棚から取り出して本を開けてみる。



その時だった‥




「伊織。こんなところで何してる?」



いきなり声が背後から聞こえてきた。


それは‥



「しゅ‥柊人先輩‥。」



まぎれもなく、柊人先輩だった。



柊人先輩は驚いているようで、それでいて少し動揺しているようにも見える。



「す‥すみません先輩!私、どうしても気になってしまって‥。」


「‥いいよ。‥入ちゃったもんは仕方ないし。」



そう言って柊人先輩は本棚の前にある脚立に座って本を読み始めた。



「‥それにしても、すごい本の量ですね。ここはどういった場所なんですか?」



「‥ここは‥向井家の図書室みたいなもんかな。まぁ俺のために作ってくれた所なんだ。」



「へぇー。こんな部屋を作るなんてその人すごいですね!」


私は本棚を見て回りながら言う。


「うん。あの人はすごかった。俺のために作ってくれて‥なんでも‥してくれた‥のに‥」


私は柊人先輩の声が震えていることに気づく。


見ると先輩は背中を震わせて泣いていた。



「先輩?どうしたんですか!?」



「ごめん。‥ここに入ると‥いつも、涙が止まらないんだ‥。」


私はなおも泣いている先輩の背中をなでてあげる。


こんな先輩を見るのは初めてだった。



「この‥図書館は、俺と初めて担当してもらった執事との思い出の場所なんだ。」



そう言って、柊人先輩は過去のことについて話始めた。