その熱ーい視線に大和先輩は耐えきれなくなったのか、彩月の方を向いて行った。



「テストとレポートが終わったら、どこか一緒に行ってやるから‥だから、頑張れ。」



それは大和先輩なりのエールだった。



「は‥はい!頑張ります!」


さっきとは違って彩月の目は輝いていた。


大和先輩にとってはダメージが大きいかもしれないが彩月にしてみれば効果はばつぐんだ。



そんな様子を咲和先輩は大爆笑していた。



「そ‥そんなことよりも‥みんなにお知らせがあります。」


大和先輩がそう言うと全員がひきしまった顔になった。



「夏休み、文芸部の合宿を行いたいと思います!」



「えっ!?」



全員からそんなつぶやきが漏れた。



「合宿はだいたい1泊2日ぐらいを予定しています。学校でやってもいいんですけど、1度思いきって学校を飛び出したいと思います!それと、どこかの宿をゲットしたいと思ってるんですけど‥。まぁ内容は10月の学園祭に向けての相談や小説についてです。顧問の最上(もがみ)先生にも相談した上で決めます。」



「や‥大和くん、本気でやるの?合宿?」


咲和先輩がみんなよりも先に口を開いた。


「はい。去年は新しく作ったばかりで、出来なかったので今年はやってみたいんです。みんなはどうですか?反対ですか?」



「面白そうですね!私は賛成です!」



私は迷わずに手をあげた。


「あっ!私もです!」


それにならって彩月も手をあげた。


「私も特に異論はないよ。」


咲和先輩も笑顔で返答し柊人先輩も無言ではあるけどうなずいていた。



「じゃあ、決定ですね!」


大和先輩が嬉しそうに言った。


「でも、あの顧問をどう説得するの?多分やる気ないよね?」



「な‥なんとか頑張ってみます。」


「大和。1つ提案なんだけど。」


意外な人物が口をはさんだ。


それは柊人先輩だった。




「合宿さ‥俺の家で、やらない?」



「えっ!?し‥柊人先輩、そ‥それは、どういうことですか?」



「そのままの意味だよ。どこか宿とろうと思うと、お金がかかるんじゃないかと思って。だから一応、俺の家を候補にあげたんだけど‥。」


大和先輩はなおも動揺しているらしく声が少し震えていた。



「で‥でも、柊人先輩の家をお借りするのであればご両親にご迷惑がかかるのではないかと‥。」



「親は夏になると毎年、外国へ行ってしまうから家には誰にもいない。部屋もたくさんあるから心配する必要もないよ。まぁ、いるとすれば使用人達がいる程度かな。」



「へ‥へぇー。」



大和先輩は返す言葉もないようだった。


かと言う私も驚きのあまり言葉を発せずにいた。




「じゃあ、もう柊人の家でいいんじゃない?正直、財布がきつかったし‥。どうでしょう大和部長?」



咲和先輩が乗り気で大和先輩を促した。



「い‥一応、この話は顧問の最上先生に話してみます。最終判断は話をしてからにします。」



そう言って、昼休みは終わってしまった。