しばらくは私も大和先輩も喋り続け、雨が降ってることさえも気づかないぐらい話し込んでいた。




「あっ、もうこんな時間か。今日はこれぐらいにしておこうか。」


「はい。先輩、よろしければまたオススメの本があれば教えてください!」


「いいよ!喜んで。」


そんなことを言ってると‥それに被さるように彩月が言った。


「お疲れさまでした。」



「お‥おぉ‥お疲れ‥。」



彩月はそれだけ言うと部室を後にした。




「彩月、なんか怒ってるのか?」


「さぁ‥。私、ちょっと彩月のところに行ってみます。お疲れさまでした!」


そう言って私も部室を後にして彩月を追いかけた。



彩月は校門のところまでやってきていた。



「彩月!!待って!」


私は傘もささずに全速力で彩月を追いかけた。


彩月も傘をささずに立ち止まって待っていてくれたが、どうも様子が変だった。



「彩月、どうしたの?何かあった?悩みなら私、聞くよ?」


すると、彩月が今までにないぐらい冷たい声で言った。



「あんたはいいよね。」



「えっ?‥それってどういう意味‥?」



そう聞くと彩月は私の方を振り返って厳しい目つきで言った。



「そのままの意味よ。あんたって本当に得な性格してるよね。誰からも好かれて、話を合わすことができて。本当にあんたのことが羨ましいよ。好きなものがあると周りのことが見えなくなるてやつ。」



ここで私は気づいてしまった。


彩月が怒ってるということに‥。


「彩月、別に私は悪気があったわけじゃないよ!本当にテンションが上がっていつの間にか彩月のこと忘れてた‥。」


私はうなだれるしかなかった。


「‥いつもならここでフォローするところだけど、今日はそんなこと言ってる余裕なんてない。私はあんたのそういうところ、大嫌いだから。」



ズキッ! 心の中が痛んだ。



「さ‥彩月‥。」




「しばらくは私に話しかけないで。あんたの顔も見たくない。」