「それと‥今は‥伊織のこと好きじゃないんだ。」



その話は蒸し返さないでほしかったな‥




失恋を思い出し、止まりかけていた涙がまた溢れだす。


「伊織。俺は 今は 好きじゃないて言った。つまり‥これから‥伊織のこと好きになっていくかもしれないという可能性はあるということだから。」


柊人先輩はなぜか顔を赤くさせながら言った。

「えっ!?」


「俺が卒業するまでに‥俺のこと振り返らせてみろよ。」




ドキッ!!!


心臓がすごくはねた。


「そ‥それって‥」



「い‥嫌ならいいんだ。ふるだけじゃ可愛そうだなと思って‥。それに‥俺も‥キス‥奪ってるわけだし‥」



もう一度、告白するチャンスを与える。



これが柊人先輩が払う代償‥なんですね‥。



「先輩。もう一度チャンスをください。」



私は真正面から柊人先輩の目を見て伝えた。


「‥言っておくけど‥俺は簡単にはオチないからね?‥俺は‥オチない自信があるからチャンスを与えたんだ。」


「柊人先輩!私、先輩に振り返ってもらうために猛アタックしますね!柊人先輩が私のことを虜になるように!‥私は諦めませんよ柊人先輩。」


すると柊人先輩は笑って私の頭に手をおいた。


「あんまり頑張りすぎるなよ。」


その手はやわらかくてあたたかった。


この時の先輩は笑っていてすごく楽しそうだった。


いつも‥こんな表情をしてたらいいのに‥と願わずにはいられなかった。


これから私のリベンジが、始まる。