伊織side


「えっ!?今日も柊人先輩、来られないんですか?」


放課後の部室で私は驚いて大和先輩に聞き返す。


部室には私と大和先輩の2人きり。


あれから大和先輩と咲和先輩は仲直りしたそうだった。

「そうらしいんだ。あっ‥別に伊織のことを避けてるわけじゃないよ!今日は用事で実家に戻るて行ってたから。」


大和先輩はたんたんと言った。


「大和先輩。柊人先輩の実家てどこなんですか?」



「柊人先輩は東京出身だよ。しかも‥会社の跡取り息子らしい。」


「えっ!?柊人先輩が跡取り息子!?」


やばい‥本当にやばい‥!し‥柊人先輩がもう‥王子様に見えてきた!!!



「‥けど‥柊人先輩は‥そうやって言われるのがあんまり好きじゃないらしいよ。」


「えっ!?」


「だから‥このこと柊人先輩には内緒ね。」


大和先輩は唇に人差し指を立てて口止めをした。


「は‥はい‥。わかりました‥」


私の中に柊人先輩の顔が浮かんだ。


人に少し無関心そうで、自分のことを話さない‥あんまり感情も表に出さない‥。


それは‥跡取り息子が関係してるのかな‥。




私の中で柊人先輩が遠くに感じた。




「なぁ‥伊織‥。彩月て‥今、付き合ってる人‥いるかな?」



その声で私は現実に引き戻された。


「‥‥えっ?さ‥彩月‥ですか?今はフリーでしたよ。」


すると‥


「よしっ!!」

なぜか大和先輩はガッツポーズをしていた。



「も‥もしかして‥大和先輩、彩月のこと好きなんですか?」


そう言うと大和先輩の顔が真っ赤になった。



「いやいや!!好きになりかけていうか‥気になるていうか‥。」


そのまま口に手を当てて黙ってしまった。



「先輩。私、お手伝いしましょうか?」