「‥伊織の恋を邪魔する奴がいるなら、それが先輩であっても容赦はしない。友達に好きな人がいるなら私は全力で応援する。私は伊織の味方だから。」


「さ‥‥さ‥彩月‥ッ‥‥ヒック‥」


「ちゃんと今の気持ちを伝えなよ。それと‥ごめんなさいてことも。」


彩月が子どもをなだめるように言った。


「は‥‥はぃぃぃ‥‥。」


「ほら、涙と鼻水ふきなよ。汚い。柊人先輩に逃げられるよ?」



彩月が笑いながらティッシュを渡してくれた。

「あ‥ありが‥とう。」




彩月は私の大親友でなんでも話せる友達だ。失いたくない存在。



「小腹がすいたから、何か食べない?私、ケーキ食べたいなー。」

「うん!食べる!」


そう言って私は彩月の後をついて行った。
その彩月の後ろ姿に‥



「‥ありがとう、彩月。」


小さな声でつぶやいた。


「‥ん?なんか、言った?」


彩月が振り向いたが私は笑ってごまかした。


「なんでもないよー!早く、食べに行こう!」

私は彩月の背中を押した。


もう、私の目には涙はなかった。