夜が訪れていた。


昨日の夜はみんなで肝試しをしたりして楽しかったのに、今日はどうしてこんなにも夜が怖いんだろうか。


鍵をかけた女子の教室の中、みゆは懸命に自分の両手をこすり合わせてそう思っていた。


山が近いからか、夜になると温度は急激に下がって行く。


さっきお風呂に入って体を温めたばかりだというのに、もう寒さを感じるまで冷えていた。


「みゆ、大丈夫?」


杏珠がそう声をかけて来るので、みゆは適当に頷いた。


ついさっき、Hチームの2人が死んでいるのが見つかった。


体育館を出る時から様子がおかしいことに気が付いていたけれど、みんな2人を追いかけなかった。


追いかける気力もなかったんだろうし、なによりこれ以上巻き込まれたくないという気持ちが強かったのかもしれない。


「みゆ、寒い?」


杏珠がそう聞きながらあたしの手を握りしめて来た。


男子のように大きな手。


だけどそれは細くて華奢で、自分を守るためには頼りないものだと、みゆは感じた。