範囲指定ゲーム

次は自分が死ぬ番かもしれない。


首つりを決行されてしまうかもしれない。


陸はさっきから何度もそう思い、体育館の中を見回していた。


あの男の姿は見えない。


だからまだ大丈夫、俺は死なない。


自分自身にそう言い聞かせる。


けれどCチームがどうして沼に落ちたのかがわからなかった。


あの男が関与したのかとも考えたけれど、ボクシングをしている2人を相手にするなんて、到底無理だと思えた。


沼に突き落とす前に、きっとあの男の方が突き落とされてしまうだろう。


なら、どうやって沼に落ちたんだ?


考えれば考えるほどに現実から遠ざかって行く。


男は言っていた。


『できるんだよ。できるようにしたんだよ。なんか文句あんのかよ』


コピペで人を殺せるようにしたと言っていた。


もちろんあの時はそんな事信じてなんていなかった。


でも、今は状況が変わってしまった。


あの男の言っていたことが本当だとすると、コピペするだけで俺たちは死んでしまうようになっているのだ。