みんな、なにも言わなかった。

ただ呆然として目の前の光景を見つめている。


沼から顔を出していた一真の姿はすでになくなり、ソウタの腕時計も、輝の手も奥底へと沈んで行ってしまっていた。


生暖かな風が吹いて山の木々を揺らし、そこから沼の上に葉が落ちて来た。


こうして沼の存在は生徒たちに気が付かれないままだったに違いない。


だけど、みんなすでにわかっていた。


3人が沼に落ちたのは枯葉で沼の存在に気が付かなかったのが原因ではないと言う事を。


「本当に……死んだ……」


そう呟いたのはHチームの光汰だった。


Hチームは一真たちのチームから投票されていて、首つりが決定してしまっている。


「嘘だ……こんなの、絶対にあり得ない」


そう言う光太の体が小刻みに震えているのがわかった。


体中から汗が滴り落ちている。


顔は真っ青で今にも倒れてしまいそうだ。


「光汰、大丈夫か?」


同じHチームの陸が光汰の肩に手を置いた。