範囲指定ゲーム

みゆは当然のように先生狙いで、いつでも先生にべったりだ。


先生がみゆをどう思っているのかはわからないけれど、みゆの方は今回の宿泊合宿に賭けていると小耳にはさんだ。


「みゆの奴、本気で動き出すかもしれないよ？」


騒がしいみゆを横目に見てそう言う美夏。


「あたしには関係ないよ」


友香は強がりを言ってそっぽを向いた。


見る限りみゆの独り相撲だ。


先生は困った顔をしているし、相手にされるとは思えない。


けれどそれを言えば友香本人も相手にされない確率が高いわけで、内心複雑な気持ちになってしまうのだった。


「さ、そろそろ行こうか」


滝の涼しさを存分に体感して鳥肌が立ってきたころ、１５分が経過した。


２人はバスの近くまで移動し、クラスメート３３人が集まって来るのを待った。


みゆの周りには自然と人が集まっている。


男子生徒からだけでなく、女子生徒からも人気がある事がとても不思議だった。


ちゃんと会話をしてみればみゆの魅力に気がつく事ができるのかもしれない。


「みんな集まったかー？」


先生が声を張り上げてそう聞いた。


あちこちから「はーい」という返事が聞こえて来る。


「よし、じゃぁここからは少し歩くからな」


「えぇ？　歩くの？」


さっそく不満げな声が聞こえて来る。