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「ソウタ……?」


桜が小さな声でそう呟いたので、友香はそちらへ視線を向けた。


桜の視線は底なし沼の奥へと向けられている。


そこにあったのは、ソウタが使っていた腕時計だったのだ。


主を失った腕時計は水面からゆっくりと沈んでいく。


「嘘だろ? ソウタは俺と冷で部屋まで運んだんだ!!」


心太朗が声を張り上げてそう言った。


「あぁ。意識もなかったのに、こんなところまで移動できるわけがない」


冷が言う。


「誰かがここまでソウタを運んだ……?」


美夏が小さく呟いて、その瞬間心太朗と冷が青ざめた。


「お、俺たちじゃないぞ!!」


咄嗟にそう言い分けをする心太朗。


「違うの、疑ってるわけじゃないけど、でも……」


そこまで言い、美夏は口を閉じた。


そう、2人の事は信用している。


だけどこんな状況になる意味が全くわからないのだ。