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不思議に感じていると、ザバッと水から上がるような音が聞こえてきて、腐葉土の中から一真が顔を出したのだ。


ずぶ濡れのその姿に心太朗がその場に尻餅をついた。


「な、なんで……」


傍から見れば一真は土の中から出てきたように見えた。


でも、違う。


友香は慌てて近づき、木の枝を使って腐葉土をどかし始めた。


次第に地面が現れてきて、そこには沼地ができていることがわかったのだ。


一真はどうにか顔を出しているが、その向こうには沼から手が付き出ている状態だった。


輝かもしれない。


咄嗟にそう思った。


「まじかよ……」


心太朗は小さく呟いて後ずさりをした。


友香はゴクリと唾を飲み込む。


心臓がうるさいくらいに早く打っていた。


「助けて……!」


そう叫ぶ一真も、どんどん沼の中へと沈んで行っている。


「お、おい。どうするんだよ」


誰かがそう言った。


手を伸ばして引っ張り上げる?


そんなことできるわけがない。


底なし沼に入ってしまえば、後はズブズブと沈んでいくだけだ。