範囲指定ゲーム

そう思い、慎重に周囲を確認する。


その時だった。


どこからか水の音が聞こえて来た気がして、友香は息を飲んだ。


心太朗にも聞こえたようで、耳をすませている。


すると今度はハッキリと、水を手ではじいているような音が聞こえて来たのだ。


「なんの音?」


真子が首を傾げてそう言った。


「わからない。水道はグラウンドにしかないし、どうして水の音なんか……」


友香がそう返事をした瞬間「助けてくれ!!」という声が聞こえてきて、心太朗が走りだしていた。


あっけにとられていたクラスメートたちが、慌てて追いかける。


声が聞こえたのは山の中に少し入った所からで、腐葉土や草に覆われた場所だった。


が、どこにも人影はない。


「おい、聞こえるか!?」


心太朗が大きく声を上げる。


「ここだ、ここ!!」


それは間違いなく一真の声だった。


一真の声はすぐ近くから聞こえて来るのに、姿が見えない。


それに、水音も近くで聞こえて来る。


水なんて、どこにも見えないのに。