一真と輝。


あの2人が協力してくれるとは思えなかった。


体育館へ行くことで被害が増えるかもしれない。


「それなら元々知美が使っていた布団を持ってこようか」


友香がそう提案した時だった、校舎から慌てた様子で心太朗と冷が出て来た。


「どうしたの、2人とも?」


ただ事ではなさそうな雰囲気に杏珠が聞く。


「一真と輝を見なかったか?」


心太朗にそう聞かれて、クラスメートたちは全員左右に首を振った。


「全員ここにいたけれど、2人は出て来てないよ?」


友香がそう言うと、心太朗は「いないんだよ、校舎の中に」と早口で言った。


「校舎の中にいないって、どういうこと?」


杏珠が眉を寄せてそう言った。


「裏口から出た……とか?」


真子が恐る恐るそう言った。


そうかもしれない。


裏口のドアは鍵がかけてあったけれど、窓から出る事は十分にできると思う。