「ソウタ!!」


ハッと我に返った友香は走り出していた。


ソウタの横に膝をつき、その体をゆふさぶる。


しかしソウタは目を開けない。


ピクリとも反応を見せなかった。


「ソウタ、おい大丈夫か?」


心太朗がそう声をかける。


クラスメートたちがソウタの周りに集まり、ハンカチやティッシュでその血をぬぐっていく。


ソウタの顔が綺麗になるっても、本人は目を固く閉じたままだった。


「死んでないよな……?」


輪の後ろの方からそう聞いてくる声がして、友香がゾクリと背筋が寒くなった。


グラウンドに置き去りにしている知美の体を思い出す。


「死ぬなんて、そんな……」


心太朗がソウタの手首を掴み、脈を確認している。


「生きてる! まだ生きてるぞ!」


その声にクラスメートたちから安堵のため息が漏れた。


だけど、安心なんてしている場合じゃない。


早く助けを呼ばないと、ソウタは間に合わなくなってしまうかもしれないのだ。


「みんなはSOSを作っていてくれ! 俺はソウタを校舎に運ぶ!」


心太朗がそう言い、同じチームの冷を誘って心太朗の体を抱き上げた。


2人に支えられるだけでダラリとしているソウタの体を見て、友香は涙が出そうになったのだった。