男がいなくなった後の体育館は険悪なムードに包まれていた。


一真と輝の怒りに触れてしまったことで、全員が怯えた表情をしている。


「お前ら、マジふざけんなよ」


「絶対に殺してやるからな」


さっきからそんな物騒な言葉を呟いては、近くにいるクラスメートの頭を殴ったりしている。


殴られた生徒は睨み返すものの、2人の威圧的な態度に何も言えないままだった。


ボクシングをしている2人が本気で生徒を襲い始めたら、それころ大きな被害になるかもしれない。


そしてもうひとつのチーム、Hチームは全員放心状態で体育館に座り込んでいた。


Cチームに選ばれてしまったというのは、不運でしかない。


自分たちのチームが選ばれなくてよかったと、言いはしないがみんな心の中で安堵しているに違いなかった。


「このまま時間が経つのを待っていても仕方ないな」


仕切り直すようにそう言ったのはソウタだった。


ソウタの目は赤くなっていて、少し泣いていたのがわかった。


自分が選ばれたと言うのに、ソウタは笑顔を浮かべている。


その笑顔に友香は胸が痛むのを感じた。