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生徒たちはグラウンドへと戻ってきていた。


あの光景を見た生徒はみんな青ざめ、その場に座り込んでいる。


友香と美夏は口も利かず座り込んで身を震わせていた。


先生が2人とも自殺していたなんて、今でも信じられなかった。


「俺たちこれからどうすんだよ……」


心太朗が小さく呟いた。


心太朗も青い顔をしていたが、まだしっかりとしている様子だった。


「警察を呼ぶしかないでしょ」


あの光景を見ていないメイが冷静にそう言った。


メイの言う通りだった。


だけどここはスマホが通じない。


連絡を取るためには1時間かけて滝があった場所まで戻るしかないのだ。


「どうする? 全員で降りる?」


メイがクラスメートたちを見てそう言った。


「その方がいいよな。だけど、その間に誰かが旧校舎に入るなんてことがあったらどうする?」


心太朗がそう言い、メイは顔をしかめた。


「そんなの、あるわけないじゃん。こんな山奥だよ?」


「いや、案外あったりして?」


メイの言葉を否定したのは冷だった。


冷は2人の死体を見ているけれど、その中では冷静な方だった。


「どういう意味?」


「だって、昨日会議室で人影を見たんだよな?」


冷にそう言われて杏珠はビクリと身を震わせた。