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旧校舎から桜の悲鳴が聞こえて来たことに気が付いたのは友香だった。


「え、今のってなに?」


生徒たちのざわめきにかき消されそうになった悲鳴は、確かに友香の耳に届いていた。


「なにが?」


真子とおしゃべりに夢中だった美夏は何も気が付いていない様子だ。


「今、桜の悲鳴が聞こえなかった?」


「悲鳴ぃ?」


美夏は首をかしげて怪訝そうな表情を浮かべる。


その時だった、旧校舎から真っ青な顔をした桜が転げるように出て来たのだった。