☆☆☆
大志は布団の上で目を閉じている友香を見つめていた。
久しぶりに腕時計から解放された左腕が軽く感じられた。
「小野友香」
大志は小さく名前を呼んだ。
友香は規則正しい寝息を立てている。
友香の事は兄貴とここへ下見に来る前から知っていた。
兄貴のクラス写真を見せてもらった事があったからだ。
大志は写真の中でほほ笑んでいる友香に恋心を抱いていた。
兄貴からクラスの出来事を聞き、友香の名前が出るたびに胸が高鳴った。
そんな彼女がここへ来たとき、大志は絶望的な気分になった。
彼女はこれからクラスメート相手に殺し合いをしなければならない。
どうか、最後まで生き残ってくれないだろうか。
どうか、その命を絶やす事のないように……。
そして最後まで生き残ったその時には、これから先も生き続けられるようにこの腕時計を渡すつもりでいた。
この建物の中で指揮者である限り、その命が消されることはない。
どんな形でも生き続けることができる。
大志はそっと友香の頬を撫でて立ち上がった。
目が覚めれば彼女に指示が出るだろう。
彼女は混乱し、1人で泣き叫ぶことになるかもしれない。
次の被験者たちが来るまでに死体を野生動物に食わせ、友人たちの荷物をすべて沼に捨て、すべてなかったことにしなければならないのだから。
大志は布団の上で目を閉じている友香を見つめていた。
久しぶりに腕時計から解放された左腕が軽く感じられた。
「小野友香」
大志は小さく名前を呼んだ。
友香は規則正しい寝息を立てている。
友香の事は兄貴とここへ下見に来る前から知っていた。
兄貴のクラス写真を見せてもらった事があったからだ。
大志は写真の中でほほ笑んでいる友香に恋心を抱いていた。
兄貴からクラスの出来事を聞き、友香の名前が出るたびに胸が高鳴った。
そんな彼女がここへ来たとき、大志は絶望的な気分になった。
彼女はこれからクラスメート相手に殺し合いをしなければならない。
どうか、最後まで生き残ってくれないだろうか。
どうか、その命を絶やす事のないように……。
そして最後まで生き残ったその時には、これから先も生き続けられるようにこの腕時計を渡すつもりでいた。
この建物の中で指揮者である限り、その命が消されることはない。
どんな形でも生き続けることができる。
大志はそっと友香の頬を撫でて立ち上がった。
目が覚めれば彼女に指示が出るだろう。
彼女は混乱し、1人で泣き叫ぶことになるかもしれない。
次の被験者たちが来るまでに死体を野生動物に食わせ、友人たちの荷物をすべて沼に捨て、すべてなかったことにしなければならないのだから。



