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大志がここへ来たのは本位ではなかった。


兄貴が宿泊合宿の準備に忙しそうだったのは普段から見ていたけれど、大変だな、と思う程度で普通の日々を送っていた。


大志は1年3組の生徒たちと同じ16歳だったけれど、学校は違うし、関係のない話だった。


「頼む大志、一緒に下見に行ってくれないか?」


そんな言葉を兄貴からかけられたときも、本当は興味なんてなくて、めんどくさく感じていた。


だけどその日は丁度休みで予定がなかったこともあり、兄貴について行ったんだ。


その時だ。


あの男たちにあったのは……。


車を止めて歩いて1時間ほどの場所にその校舎はあった。


こんな場所で宿泊合宿なんて、青谷高校の生徒は気の毒だと思った。


スマホの電波は当然のように繋がらないし、周囲は山で囲まれていて今にも野生動物が出てきそうだ。


2人して校舎へ近づいた時、黒い服に大きなマスクをつけた男にバッタリ会ったのだ。


「あなたが管理者ですか?」


兄貴はニコニコと笑顔で近づいて言った。


こんな奴が管理者?


見るからにおかしいだろ。


そう思ったが、遅かった。