真子が発狂しながら校舎内へと駆け込んだとき、大志はゆっくりと友香へ近づいた。


友香は当然のように後ずさりをする。


しかし大志はそんなこと気にも留めず、友香の細い腕を掴んだ。


その腕に、自分がつけていた時計をはめる。


瞬間、チクリとした痛みが友香を襲った。


見ると大志の腕にも微量に血が流れているのがわかった。


「これは、なに？」


そう聞くそばから、視界が歪んだ。


大志の顔が見えなくなり、屋上に出て来た真子の姿が見えていた。


上半身がグラリとゆれて、後方へ倒れたのだと気が付いた。


「大丈夫だよ。すぐに準備をするから」


真子が屋上から飛び降りた瞬間、男がそう言い、友香は意識を手放したのだった……。