「冗談でしょう……?」


心太朗の話を聞き終えた友香は全身が震えていた。


自分は生き残ると思っていた。


他の人たちを犠牲にすることにはなったけれど、自分は心太朗に助けられたのだと……。


「大丈夫だよ友香、怖がることはない。死に方は同じ水死にしておいたから、手を繋ぎ合って死ぬことができる」


そう言う心太朗は本当に幸せそうで、心中することは本当に幸せなことだと思い込んでいる。


心太朗が死ぬことは辛かった。


どうにか一緒に生き残れないかと考えた。


だけどそれが無理だと知った時、友香は『自分1人でも生き残りたい』と、思っていたのだ。


そしてそれは叶えられるはずだった。


あたしはちゃんと生き残るハズだったのに……!!


友香は心太朗の手を離した。


心太朗は驚いた顔で友香を見る。


「あたしは……心中が綺麗で幸せな死に方だなんて思わない」


震える声でそう言った。


「友香?」


心太朗は友香の言いたいことが理解できずに、ただ首を傾げている。