その夜、友香と心太朗は教室には戻らなかった。


2人で屋上に横になり、満点の星空を眺めていた。


空が広くて空気が澄んでいてとても綺麗な空だった。


「寒くないか?」


「大丈夫だよ」


2人で身を寄せ合っていれば、夜の寒さも気にならなかった。


お互いにこれほど密着したことなんてなかったから、体は常に火照っていた。


時折かわすキスは熱いくらいで、唇が触れるたびにクラクラとメマイを起こしそうだった。


それでも、明日になればこのぬくもりが消えてしまうのだと思うと、何度キスをしても足りなかった。


屋上で一晩中抱き合っているとさすがに体が痛くなり始めて、空が白み始めた時、友香は体を起こした。


「教室へ戻るのか?」


「そうだね、一旦戻ろうかな」


そう言って立ち上がる友香の手を、心太朗が掴んで引き止めた。


「投票の話は誰にもするなよ?」


そう言われて、友香の胸はズキリと痛んだ。


誰かに口外すればそれが広まるのはきっとあっという間だろう。


「わかってる」


友香は小さく頷いて、教室へと向かったのだった。