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心太朗が移動してきた先は屋上だった。


何人もの生徒たちがここから落ちて死んでいった。


そう思うと息苦しくなる場所だけれど、2人きりになるため思いついた場所はここしかなかったのだ。


「友香……」


振り向いて名前を呼ぶ。


友香はとまどった表情を浮かべながらも、「なに?」と、小首を傾げて聞いて来た。


その仕草が子供のようで、胸がギュッと締め付けられるのを感じた。


できればこのまま一緒に生きていきたいと願う。


残りのメンバーで家に戻り、普通の生活に戻りたいと願う。


だけど、自分の口から出たのは正反対のセリフだった。


「友香、俺たちはきっと助からない」


自分の非常なセリフが、風に乗って消えてしまえばいいのにと思った。


だけど、その言葉はちゃんと友香まで届いてしまった。


今まで微かな笑みを浮かべていた友香は、その笑みをスッと消して悲しげな表情になった。