「大丈夫だよ杏珠。変な電波が反響の妨げになってるのかもしれないから」


みゆが落ち着いた口調でそう言う。


今は男子生徒がいないから甘ったるい声じゃない。


「そ、そうなんだ?」


「知らない。適当に言っただけ」


「ここはスマホの電波も届かないじゃん。変な電波ってあり得ないでしょ。杏珠って本当に怖いの苦手なんだねぇ」


メイに笑いながらそう言われ、杏珠はムッとしたままトイレのドアを開けたのだった。