『生き残りたかった』


みゆのその言葉は友香の心の中にスッと入って来た。


誰だって同じことを考えていると思う。


誰だって、生き残りたいと思うだろう。


みゆはそれを素直に伝えただけだった。


「やられちゃった」


そう言って笑ったのは美樹だった。


美樹は自分が死ぬとわかった後も取り乱す事なく、笑顔を浮かべている。


「美樹……あんたは、ずっとその顔を隠してきたの?」


友香は思わずそう聞いていた。


人を殺してもなんとも思わないような、そんな狂気を一体いつから持っていたのだろうか。


「そうだよ? 恋愛とか、青春とか、あたしにとってはどうでもよかった。ただ肉体が滅びていく瞬間とか、自分の命には興味があった」


美樹はそう言いながらごろりと横になった。


体育館の床が心地いのか、大きな欠伸をしている。


「あたしは首を吊って死ぬんだよね? 首つりは一瞬気持ちよくなるって聞いたことがあるけど、あれは本当なのかなぁ?」