普段なら一旦文句を言うのだけれど、人数が増えたことは杏珠にとっても心強い事だった。
「えっと、どうするんだっけ?」
教室から出て廊下を半分ほど歩いたところでみゆがそう聞いて来た。
みゆは杏珠が一緒に行動する時はほとんど人の話をきかない。
すべて杏珠まかせになっているのだ。
「まずはトイレに入って印をつけるんでしょ」
そう言い、杏珠は持っていたチョークに視線を落とした。
トイレまで行って一番奥の壁に正の字を書くのだ。
「そうだったそうだった」
最初から覚えていなかったくせにみゆはパンパンと手を叩く。
音が低く鈍く籠っているように聞こえる。
「あ、これ本当にやばいかもね」
音を聞いた途端、メイがそう言ったので杏珠はビクッと身を震わせた。
「な、なにが?」
「聞いたことないかなぁ? 手を叩いても音が響かない時は幽霊がいるんだってさ」
メイはそう言い、手を叩く。
音は響かず、鈍く消えていく。
「じょ、冗談やめてよ」
「でも、本当に響かないでしょ、ほら」
メイは杏珠に確認するように何度も手を叩いた。
「や、やめてってば!」
音を聞けば聞くほど杏珠の恐怖は増していく。
こんな、何もない校舎内で音が反響しないなんておかしいんじゃないかと、思えてきてしまう。
「えっと、どうするんだっけ?」
教室から出て廊下を半分ほど歩いたところでみゆがそう聞いて来た。
みゆは杏珠が一緒に行動する時はほとんど人の話をきかない。
すべて杏珠まかせになっているのだ。
「まずはトイレに入って印をつけるんでしょ」
そう言い、杏珠は持っていたチョークに視線を落とした。
トイレまで行って一番奥の壁に正の字を書くのだ。
「そうだったそうだった」
最初から覚えていなかったくせにみゆはパンパンと手を叩く。
音が低く鈍く籠っているように聞こえる。
「あ、これ本当にやばいかもね」
音を聞いた途端、メイがそう言ったので杏珠はビクッと身を震わせた。
「な、なにが?」
「聞いたことないかなぁ? 手を叩いても音が響かない時は幽霊がいるんだってさ」
メイはそう言い、手を叩く。
音は響かず、鈍く消えていく。
「じょ、冗談やめてよ」
「でも、本当に響かないでしょ、ほら」
メイは杏珠に確認するように何度も手を叩いた。
「や、やめてってば!」
音を聞けば聞くほど杏珠の恐怖は増していく。
こんな、何もない校舎内で音が反響しないなんておかしいんじゃないかと、思えてきてしまう。