そこにあったのは全裸の裕斗の背中だった。


背中には包丁が突き刺さっていて、そこから血が流れ出している。


悠斗の下にはやはり全裸の千夏がいた。


千夏の体はどこか傷ついているのかわからなかったけれど、裕斗の顔の横から見える千夏の顔は、白目をむいて口の端から血を流している。


心太朗はひどいメマイを感じて壁に手をついて、どうにか倒れないように自分の体を支えていた。


一見心中にも見えるけれど、これは違う。


悠斗は背中の真ん中を刺されているのだ。


千夏が悠斗の背中を刺した後、自分の体を刺したとは考えにくい。


覆いかぶさっている悠斗を一旦どかして自分を刺して、また悠斗を自分の上に移動させたなんて、そんな事やるはずがなかった。


「2人とも繋がったまま死にたいって言ってたんだよ?」


その声に心太朗はゆっくりと顔を上げた。


幸せそうにほほ笑む美樹がそこに立っていた。


「まさか、お前が……?」