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好きな人を守りたいと思うのは当然の心理だった。
それを利用するなんて、きっと最低な事なんだろう。
そんなことみんなわかっていた。
それでも生き残りたいと考えた彼女たちは、やるしかなかったのだ。
Fチームの竜を呼び出したのは、11時頃だった。
人気のない体育館にKチームを抜いた女子生徒たちは集まってきていた。
女子の中に紛れた竜は居心地が悪そうに顔をしかめた。
「用事ってなんだよ」
落ち着かない様子で誰ともなくそう聞く竜。
「あたしたち、話し合いをしたんだけど……美樹を守りたいと思って」
杏珠が一歩前に足を踏み出してそう言った。
突然出て来た美樹の名前に竜は戸惑い、視線を泳がせている。
こんなことを言い出すなんて不自然だと、本当なら感じているだろう。
だけど、好きな人が死ぬかもしれない今の状況では、そんな不自然さもかき消されてしまう。
「美樹を……?」
「うん。このクラスの中で生き残るべき人は誰か、みんなでよく話し合ったんだ」
杏珠はそう言い、ほほ笑んだ。
それは死ぬことを覚悟したほほ笑みに見えて、友香は感心してしまった。
好きな人を守りたいと思うのは当然の心理だった。
それを利用するなんて、きっと最低な事なんだろう。
そんなことみんなわかっていた。
それでも生き残りたいと考えた彼女たちは、やるしかなかったのだ。
Fチームの竜を呼び出したのは、11時頃だった。
人気のない体育館にKチームを抜いた女子生徒たちは集まってきていた。
女子の中に紛れた竜は居心地が悪そうに顔をしかめた。
「用事ってなんだよ」
落ち着かない様子で誰ともなくそう聞く竜。
「あたしたち、話し合いをしたんだけど……美樹を守りたいと思って」
杏珠が一歩前に足を踏み出してそう言った。
突然出て来た美樹の名前に竜は戸惑い、視線を泳がせている。
こんなことを言い出すなんて不自然だと、本当なら感じているだろう。
だけど、好きな人が死ぬかもしれない今の状況では、そんな不自然さもかき消されてしまう。
「美樹を……?」
「うん。このクラスの中で生き残るべき人は誰か、みんなでよく話し合ったんだ」
杏珠はそう言い、ほほ笑んだ。
それは死ぬことを覚悟したほほ笑みに見えて、友香は感心してしまった。