「なんで……?」


「なんでって言われても……千夏は悠斗を好きな事に理由があるの?」


そう聞かれて、千夏はグッと黙り込んでしまった。


確かに、相手を好きな事に理由なんてない。


それと同じで、美樹は死体が好きなのだ。


その気持ちはわかっても、やっぱり美樹は異常だと感じられた。


「ほら千夏、手伝ってよ」


そう言われて我に返ると美樹が美桜の体を持ち上げようとしているところだった。


慌てて駆け寄り、美桜の足を掴んで持ち上げた。


「死体って結構重たいんだね」


そう言いながら美樹は嬉しそうに笑った。


死体の感触を確かめるように美桜の頬を親指の腹で撫でている。


「早く、行くよ」


千夏はそう言い、美樹を急かしたのだった。