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足元に無数の死体があるというのに、否な顔1つしない美樹に千夏は驚いた。


しっかりしたお姉さんみたいな子だと思っていたけれど、ここまでだなんて思っていなかった。


「とりあえず、綺麗な死体から移動させようか」


そう言いながら教室の中をグルグルと歩きまわり、死体の様子を観察している。


千夏は死体を見るだけで吐き気が込み上げてきているのに、美樹は全く平気そうな様子だ。


それところか、その口元は少しだけ笑っているようにさえ見えた。


背筋がスッと寒くなるのを感じる。


「あ、これなんかどう? 美桜の死体は首つりだから他のよりかは綺麗だよ? 焼死はさすがにないし、水死や飛び降りもきついよねぇ」


死体を1つ1つ確認しながら美樹は言う。


まるでお店で服を選んでいるような口調だ。


「美……美樹は、どうして平気なの?」


思わずそう聞いていた。


自分はこの教室に入る事すらできないと言うのに、どうして美樹は平気なんだろう?


「え? あぁ、あたし元々興味があったんだよね。死体とか」


平気な表情を浮かべてそう言う美樹に、千夏は顔をしかめた。


死体に興味があるだなんて、千夏にとっては信じられないことだった。