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その程度のことなら美樹は許されていた。


子供の好奇心だからと、大人たちも注意することはなかった。


女の子だし、大きくなれば虫を殺す事もなくなる。


そう思われていたが、美樹はそれから先も変わらなかった。


中学へ上がると無心でホラー漫画を読み漁るようになり、本当にこんな事が起こればいいのにと心を躍らせた。


高校へ入ってからは更なる刺激を求めて大きな虫を捕まえては、その足を切断し、体を二つに切り、内臓を取り出した。


虫が自分の手の中でバラバラになっていく様子がたまらなく愛しくて、体中がゾクゾクした。


あぁ。あたしはきっと普通じゃないんだ。


こんなことで興奮するなんて、どこかが壊れて産れてしまったんだ。


美樹は虫を殺しながら、クラスメートたちと同じように恋愛の話に花を咲かせた。


好きな男子なんていなくても、いる素振りを見せて頬を赤らめて見せた。


そうしながら、今日はどんな虫を殺そうかとワクワクしていた。