「美樹……」


大丈夫だよ。


そう言いたかったけれど、喉に言葉が詰まって出て来なかった。


とても大丈夫だとは言えない状況で。千夏はうつむいてしまった。


「辛いよね」


そっと近づいて、美樹はそう言った。


千夏の肩に自分の手をそっと乗せる。


「いつまでここにいるんだろう……」


千夏は小さく呟いた。


「そうだよね。こんなゲーム、早く終わらせたいよね」


美樹は千夏の肩に置いている手に力を込めた。


この手を少し押せば千夏はバランスを崩して、屋上から落下していくだろう。


美樹はそれを理解していて、千夏の肩に手を置いていた。


美樹は昔から少し変わった子供だった。


小学生の頃は足の行列を運動靴で踏んづけて潰したり、カエルを焚火に入れて焼き殺したりして遊んでいる子だった。