もう限界だった。


次々と仲間たちが死んでいくのも、助けが来ないのも、得体の知れない男に怯えるのも。


それに加えて今度は野生動物からも怯えなければならなくなってしまった。


まだみんなが食堂に残っている間、千夏は1人で屋上へと来ていた。


少しでも綺麗な空気を胸一杯吸い込む。


木々がざわめくたびにハッとして振り返り、そこになんの動物もいない事を確認した。


今は日が高い。


動物が出て来るのは夜だろうから、きっと大丈夫なハズだ。


それに、屋上まではきっと来ない。


ここは校内で最も安全な場所だ。


千夏は自分自身にそう言い聞かせた。


「千夏、大丈夫?」


そんな声が聞こえてきて振り向くと、美樹が立っていた。


美樹は同じチームの千夏が食堂から出た事を心配して追いかけて来たのだ。


千夏は美樹の顔を見てホッと胸をなで下ろした。


美樹は一番の親友で、一番信用できる存在だった。


千夏にとっては同級生だけどお姉さんのような友達だった。