だけど、散乱している場所にくぼみができていることに気が付いたのだ。


それは動物の大きな足跡に見えた。


「あれって……」


「おそらく、山から動物が下りてきたんだ」


心太朗が真剣な表情でそう言った。


「うそ……」


見る限りそれはとても大きな動物で、人間を襲うような動物かもしれないということだった。


「今日までで沢山の仲間が死んでいったからら。血の匂いを嗅ぎつけてきたのかもしれない」


心太朗の言葉に友香は背筋を震わせた。


死体の血の匂いを嗅ぎつけて現れる動物。


そんなの、完全に人間を狙ってきているということだ。


「昨日使った太鼓も荒らされてるの」


美夏の言葉に視線を移動させると、太鼓が横倒しになっていたり、新しい破れ目ができたりしていることがわかった。


昨日の夜確実になにかがこのグラウンドに来ていたことになる。