期待とは裏腹に、校舎まで助けがくることはないまま夜が来ていた。


昨日眠れていなかったみんなは疲れ果てていて、今日は友香もすぐに眠りについていた。


夢の見ずに、ぐっすりと眠っていた。


その時だった。


周囲の騒がしさが耳に入り、友香はうっすらと目を開けた。


教室の中には明かりが差し込んでいて、もう朝が来たのだと言う事がわかった。


それでも疲れがとれ切れていない体はずっしりと鉛のように重たいままだ。


「友香、起きた？」


バタバタと足音が聞こえてきたのでそちらへ視線を向けると、慌てた様子の美夏と真子がいた。


「２人とも……どうしたの？」


どうにか上半身を起こしてそう訊ねた。


「グラウンドに出て見て」


そう言われて、友香は目をこすりながら立ち上がった。


騒がしさはグラウンドから聞こえてきているようだ。


靴を履きかえて外へ出ると、心太朗の姿が見たので友香は駆け寄って声をかけた。


「心太朗、どうしたの？」


「友香……これを見ろよ」


そう言い、心太朗はグラウンドを指さした。


その指の先を追いかけるように視線を向けると……ＳＯＳの文字が散乱していることに気が付いた。


一瞬、風が吹いたのだろうかと思った。