「泣いてても仕方ないよ」


そう言ったのはみゆだった。


みゆも目を赤く腫らしているけれど、今はしっかりとした瞳で女子生徒たちを見回していた。


「あたしたちは生き残った。また明日ゲームをやらなきゃいけない。泣いている暇なんてない」


みゆの声が痛いくらい胸に突き刺さる。


その通りだった。


友香たちに泣いている時間なんてない。


やらなきゃやられるゲームは、まだ終わってはいないんだ。


「だけど、もう誰に投票するとか、そんな話はしたくない」


みゆはそう言い、俯いた。


「あたしも、そんな話はしたくないよ」


友香はみゆの言葉に賛同してそう言った。


みゆが友香を見て小さくほほ笑む。


みゆは立ち上がると、教室の隅へと歩いて行った。


そこはいつも桜が使っていた布団の前だった。


すると、みゆは桜の鞄を勝手に開けたのだ。


「ちょっと、何してるの?」


驚いた杏珠がそう声をかける。