「そんな心配しなくても、最初から圏外だって」


どこからか呆れた声が聞こえて来た。


友香自身もさっきスマホを確認してみたが、案の定といわんばかりに電波はなかった。


スマホの電波がないなんて、初めての事だった。


「まぁいいじゃん。どうせ3日後にはここ出てるんだし」


美夏はそう言い、スマホを荷物の上に投げ出した。


普段はスマホがないと生きていけないほどに依存しているというのに、こういう状況になると連絡手段はどうでもよくなってしまうようだ。


スマホからの解放された感覚が美夏の心を軽くしていた。


「今日から3日間ここで勉強かぁ……」


友香はそう呟き、窓の外のグラウンドを見つめたのだった。