範囲指定ゲーム

「誰だって怖いし、死にたくないんだから。相手を殺そうとするのは当然だ」


「でも……!」


「俺たちも、最初は友香たちを殺す話し合いをした」


正樹の言葉に友香は目を見開いた。


「だけど、それじゃあの男の思うつぼになると思ったんだ」


「え……?」


「俺たちクラスメート同士が憎みあい、傷つけあうようになると、範囲指定ゲームは格段にやりやすくなるはずだ。次は誰を殺そうか。次はあいつを殺してやる。


そんな気持ちになって、ゲームをすることにも抵抗がなくなっていくんだ」


友香は静かに正樹の言葉を聞いていた。


「俺はクラスメートたちを憎みたくなんてなかった。好きなままでいたかった。だからこそ、自分たちが犠牲になる道を選んだんだ」


それはきっと正樹だけじゃなかったはずだ。


桜も美桜も透子も同じだったんだろう。


だからこそ、誰も裏切らなかったんだ。


友香の目じりに涙が浮かんでくるのを、正樹は指先でそっとぬぐった。


「俺は友香の事が好きだったよ。だから最後まで、友香の笑顔を見ていたい」


その言葉に答えるように、友香は泣きそうな笑顔を正樹へ向けたのだった。